近視の進行抑制治療
子ども近視の増加と重症化は世界的な問題となっており、さまざまな近視の進行予防方法が検討されています。
一方で、日本における近視の進行抑制を謳う治療法には、明確なエビデンスやコンセンサスが得られていない治療法が多くあります。近視進行予防治療やサプリなどが販売されておりますが、現時点で有効性と安全性が十分なデータによって示されている治療法は限られています。目の運動やストレッチにより近視の進行を抑制できるというエビデンスはありません。
以下に有効性・安全性が示されている3つの治療についてお示しします。
1:低濃度アトロピン点眼による予防
世界的に最も広く行われている治療です。アトロピン点眼は、小児の斜視や弱視の診断や治療によく使われ、近視進行を抑制する効果もあります。
シンガポールの研究では、より低濃度の0.01%アトロピン点眼を使用することで副作用が少なく効果が持続することが分かりました。
ただし、効果には個人差があり、眼軸長の伸展抑制効果についてはまだ十分ではないため、研究が進められています。
マイオピン 診察料・薬剤価格
診察料 | 1回 3000円 | ||
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薬剤料 |
1本 0.01% 3300円 0.025% 3700円 |
初回は、1本処方 1ヶ月後再診
2回目以降は、3本処方 3ヶ月毎再診
2:オルソケラトロジーによる予防
オルソケラトロジー治療とは、近視及び近視性乱視の方が寝る時に特殊なレンズを装用することで角膜形状を変化させ、脱着後の裸眼視力を改善させる治療法です。
変化した角膜形状は一定期間維持され、その間の裸眼視力は改善されます。
特徴
①日中裸眼で生活できます。
②装用を中止すると角膜形状は元の状態に戻ります。
レーシック(手術)と異なり形状が元に戻るので安心です。
③慣れるまでお時間が必要です。
3:多焦点ソフトコンタクトレンズによる予防
多焦点ソフトコンタクトレンズは、一般的に遠用の球面度数に近用の加入度数が付加された老視矯正のための遠近両用コンタクトレンズです。
海外では各社が様々なデザインの多焦点ソフトコンタクトレンズを子どもの近視進行抑制のために開発しており、オルソケラトロジーに匹敵する有効性が示されはじめています。
刺激が少なく装用しやすいことが特徴です。日中に装用するため、自分で取り外すといった自己管理が可能な年齢のお子様に比較的年齢が高い小児が対象となります。